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2022/06/01 戦隊ヒーローのすゝめ

ソノイ推し

 娘が5歳になり、着実に女の子への成長を遂げている。興味の対象もアンパンマンからプリキュアへ、ぬいぐるみからリカちゃん人形へと王道的な変化を見せているところである。客観的に見ても、歌ったり踊ったりが好きな平均的な女の子だと思うが、あえて少し変わっているところを挙げるとしたら、基本的には男の子の興味の対象になることが多い「スーパー戦隊シリーズ」が好きだという点だろうか。

 スーパー戦隊シリーズは1975年の「秘密戦隊ゴレンジャー」から脈々と受け継がれているシリーズであり、現在、毎週日曜日に放送されている「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」はシリーズ46作品目となる。
 自分が幼いころに見ていたのは5作品目の「太陽戦隊サンバルカン」だったが(年齢がバレる・・・)、そもそもあまり戦隊モノに興味がなく、その後戦隊シリーズを観ることもなかったので、娘が興味を持ったことを契機に、数十年のブランクを経て「戦隊モノ」に触れることとなった。
 未だにシリーズが継続している(しかも1年毎に内容が変わっている)ことも驚きだが、私の記憶の範囲にある「戦隊モノ」とはずいぶんと様変わりしていることにも驚かされた。

 45作品目となる前作「機界戦隊ゼンカイジャー」から娘と一緒に見るようになったのだが、この作品は、世界平和のために戦隊ヒーローたる「ゼンカイジャー」たちが悪と戦うというアウトラインは昔と不変ながら
・ 並行世界が存在することを前提に、機械の世界(キカイトピア)と現実世界が混和し、街に人間と機械生命体(ロボット=キカイノイド)が歩いているような世界観になっている。
・ 主人公以外の仲間4人は全て機械生命体(キカイノイド)。つまり主人公以外の役者さんが存在しない(主人公以外の仲間は変身前も後も生身の人間ではない)。
・ その結果、ヒロイン的な位置づけとなる若い女優さんが登場せず、主人公の祖母役を演じた柏原郁恵が「還暦ヒロイン」と位置付けられる。
・ 最初に仲間になったヒーロー「ジュラン」はキカイノイドだが人間年齢だと40代のおじさんという設定でしょっちゅう腰を痛めている。
・ 仲間のうち、紅一点の「マジーヌ」はいわゆる戦隊の「ピンク」というヒロインの位置づけのはずだが、口調・性格が完全なオタク設定。
と、ディティールの部分は昔見ていたコテコテの戦隊シリーズとは大分変わっていた。
 また、この作品においては現実世界以外の並行世界に過去のスーパー戦隊が存在するという設定のもと、ヒーローたちは過去のスーパー戦隊を召喚できるので、戦闘シーンにおいて往年のスーパー戦隊がランダムに登場することがある(例えば歴代の戦隊ヒーローの内、剣で戦うヒーローだけを召喚するというパターンもある)。ギャグやパロディが親の世代にしかわからないようなネタになっていることからしても、戦略的に親の心を掴みに行っていると思われ、まあ、その戦略にまんまと嵌ってしまったわけである。

 今作の「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」は、モチーフが桃太郎という時点で違和感があるのだが、
・ 主人公の「ドンモモタロウ」(イメージカラーは赤)は、人の心が理解できないという設定。ヒーローに変身すると異常に好戦的になり、テンションが上がると「祭りだ!祭りだ!」と言って味方にまで攻撃をはじめるご乱心っぷり。
・ 仲間の「サルブラザー」(青)はニート。近隣住民から「教授」と呼ばれている変な人。
・ 仲間の「イヌブラザー」(黒)は指名手配中の逃走犯。
・ 通常、「ピンク」はヒロイン枠だが、イメージカラー:ピンクの「キジブラザー」はコンサル会社に勤める33歳のサラリーマンで妻帯者。
・ 「ドンモモタロウ」の仲間になぜかイメージカラー:黄色の「オニシスター」(モチーフは鬼)がいる。しかも紅一点でヒロインの位置づけ。
・ 変身したドンモモタロウは周りで天女が謎の踊りをする中、神輿に担がれて高笑いをしながら登場する。
といった感じで、なかなか文章で表現するのは難しいのだが、要するにシュールとカオスの境地である。
 前作「ゼンカイジャー」では「子供は『?』で親は大爆笑」というシーンが多かったが、今作「ドンモモタロウ」は「子供も大人も『???』」のシーンが多発で、それが何とも言えない魅力となっている。
 何も難しいことを考えず童心に帰って見ることができるので、社会の荒波にもまれ疲弊しきった大人にもオススメである。

 そして、戦隊ヒーロー好きが高じて、自分が子供のときには経験をしなかった「後楽園遊園地で僕と握手」をすべく、娘を連れて戦隊ヒーローショーに何度か足を運んでいる。後楽園遊園地はもうないので場所は東京ドームシティー内の「シアターGロッソ」という劇場に変わっているが、息もつかせぬ怒涛のアクションが繰り広げられており、こちらもオススメである。現に子供だけでなく「大きなお友達」もかなり観覧しており、ワイヤーアクションや3階くらいの高さから奈落に落ちていくアクションなどは、大人でも「おぉ・・・すげぇ・・・」と思わず声が出てしまうほど。
 ちなみに、「僕と握手」はコロナ禍においては実施できないので、今はヒーローとの写真撮影会になっているようである。