弁護士法人 小野総合法律事務所 ONO SOGO LEGAL PROFESSION CORPORATION

ブログBLOG

2018/03/29 最高の睡眠

それでも夜更かし

  数年程度前から、健康に少し気を遣うようになり、食事や自律神経のバランスということを気にするようになってきた。しかし、睡眠については、どうしたら寝付きがよくなるかということを考える程度で、あまり重視はしてなかった。私が子供のころ、父親が「死んだらいくらでも眠れる」と言っていたことが影響しているかもしれない。





  睡眠については、色々研究がされているようであり、最近目にしたことのさわりをかいつまんでご紹介する。

  寝付きをよくしようという方向性は間違っていなかったようであるが、睡眠には、思っていた以上に種々の重要な役割があり、良い眠りをとることは、脳と体に休息を与える以外にも、記憶を整理して定着させたり、自律神経のバランスを整えたり、生活習慣病の改善につながったり、グロースホルモン(子供の成長に関わっているが、量は減るものの老人になっても分泌され、細胞の成長や新陳代謝促進、皮膚の柔軟性アップや、アンチエイジングの役割も果たすとのこと)を分泌させたり、免疫力を上げたり、脳の老廃物を除去して脳のコンディションを整える等の効用があるそうである。





  逆に睡眠が足りていない状態を睡眠負債と言い、睡眠負債がたまると日中の行動に大きな影響があり、一見、普通に起きている人でも、実はすべての機能が正常に働いていないこともある。例えば、起き続けているつもりでも、1秒足らずないし10秒程度のマイクロスリープ(瞬間的居眠り)を起こすこともある。ほんの数秒であるがゆえに本人も周りも気付かない点に大きな問題があり、車の運転中に生じたら飲酒運転以上に危険かもしれない。

  睡眠が足りているとは、もちろん時間も大事であり、ごくまれな短眠の遺伝子を持っている以外の普通の人は1日6時間以上の睡眠を確保するのがベストだが、たとえ1日6時間確保できなくても、質の良い睡眠をとるのが「ベターの睡眠」であり、量の確保より、質のよい眠りを確保することの方がより重要とのことである。

  そのために重要なのは、最初の90分をしっかり深く眠ることである。最初の90分間(第1周期)のノンレム睡眠は、睡眠全体のなかでもっとも深い眠りであり、第2周期以降の質は第1周期の質で決まると言われている。この「黄金の90分」をいかに深くするかが、最高の睡眠の鍵とのことである。





  深い眠りをとる方法の一つとして、サーカディアン・リズム(概日リズム・体内時計)に合うよう、就寝時間と起床時間(とりわけ就寝時間)を固定し、朝日を浴びて体内時計をリセットし、昼寝を30分以上とらないということも有効だが、それ以外に、スムーズに眠りの入り口へたどり着き、より深く眠れるスイッチとして「体温」と「脳」の2つのスイッチがある。





  「体温」のスイッチについては、覚醒時は深部体温が皮膚温度(手足の温度)より2度ほど高いが、健康な人は入眠前には手足が温かくなり、皮膚温度が上がって熱を放射し、深部体温を下げ、皮膚温度と深部体温の差が2度以下に縮まっている。このような状態を作って入眠し、黄金の90分間はしっかり体温を下げて眠りの質を上げ、朝が近付くにつれて体温が上昇し、覚醒していくように持って行く。

  具体的な方法としては、「入浴」がある。40度の普通のお湯のお風呂に15分入ると深部体温は約0.5度上がる。深部体温は一時的に上がると、上がった分だけ大きく下がろうとする。0.5度上がった深部体温が元に戻るまでの所要時間は約90分であり、入浴前よりさらに下がっていくのはそれからである。

  つまり、寝る90分前に、深部体温を0.5度程上げるような入浴を済ませ、分厚いガウンを着たりせず、発汗して手足から熱放散させれば、スムーズに入眠しやすくなる。靴下を履いたまま寝てしまうと、足からの熱放散が妨げられ、深部体温が下がりにくくなってしまう。

  忙しくて寝る90分前に入浴を済ませるなんて無理な場合は、深部体温が上がり過ぎないよう、ぬるい入浴かシャワーで済ませる等して調節する。





  次に、「脳」のスイッチについては、基本は、寝る前は何も考えないことである。無駄なことを考えずにスイッチオフで眠るということである。

  ハイウェーで運転中に眠くなる原因の一つは、風景が変わらないことである。

  単調な状態だと頭を使わないから、脳は考えることをやめ、退屈して眠くなる。このようにモノトナス(単調な状態)にすることが眠るための脳のスイッチである。

  具体的には、「いつものパターン」を好む脳の性質を利用すれば、いつもどおりのベッド・布団で、いつもどおりの時間に、いつも通りのパジャマを着て、いつもどおりの照明と室温で寝る。

  入眠前に音楽を聴くのが習慣になっているなら、いつもと同じ単調な曲。本を読んだり、テレビを見たりするのが習慣になっている人は、刺激が少なく退屈なものにすべきである。スマホは、ゲームや検索やメールチェック等ができてしまい交感神経活動を上げてしまう可能性があるので、避けた方がよい。

  ストレッチもあまり真剣にやりすぎると脳が能動的に活動し、眠りを遠ざける要因になってしまう。





  以上は、ほんのさわりに過ぎず、知らなかったが睡眠についての研究は進んでいるようである。覚醒時のパフォーマンスを上げ、よりよい日常生活を送るためには、よい睡眠をとることが重要であることを認識するに至った次第である。