2017/07/22 <超就職氷河期世代>
不惑男
先日、有効求人倍率がバブル経済期の水準を超えたというニュースに接した。アベノミクスの効果だとか、世間一般が好景気を実感しているか否かとか、このニュースからの話題の広げ方は色々あろうが、逆に、ここ最近で求人倍率が低かった時代、いわゆる就職氷河期の話をしたいと思う。
就職氷河期は、一般的に1993年から2005年ころを指すものとされ、この時期に卒業年を迎えた世代を就職氷河期世代と呼ぶらしい。この就職氷河期の中でも最も酷かったのが2000年であり、この年は大卒の求人倍率が初めて「1」を切った年でもある(就職氷河期の中でもこの年だけ)。この2000年、2001年を超就職氷河期と呼ぶらしく、大卒者であれば1977年生まれの世代が該当する。この世代は今年(2017年)に40歳を迎える世代であり、つまり私がこの世代に該当する。
お付き合いのある会社と話をしても、やはりこの世代の採用は極端に絞っていた会社が多いようで、今になって会社を支えるべき中心となるべき世代の人数が少ないことが一つの課題になっていると聞いたこともある。また、いざ中途採用等で声を掛けてもこの世代の人間がとにかく見つからない、人口が少ないわけでもないのに一体どこにいってしまったのか・・・という話も聞いた。おそらく、あまりにも恵まれない状況に嫌気が差して海外に行くか家に引きこもってしまったのだと推測するが、我々超就職氷河期世代がいかに恵まれず、かわいそうな世代であるかを力説させていただく(一般企業の就職活動をしていない私が世代を代表するような話をする資格はないことは重々承知のうえで・・・)。
上記のとおり、就職が厳しかったことは間違いなく、私は司法試験の勉強で就職活動をしていなかったので直接実感はしていないものの、私の同級生たちはかなり苦労していた。
忘れてはいけないのは、単に就職が厳しかったということではなく、我々は幼いころに散々バブル時代の狂喜乱舞の世界を見せつけられ、大人になったら煌びやかで華やかな世界が待っているかのような幻想を見せられていて、トレンディドラマ(懐かしい響き・・・)の世界に入っていくと思っていたという点である。ところがどっこい、いざ自分が社会に羽ばたこうとした際に待っていたのは先の見えない砂漠の世界であり、羽ばたくことすら覚束ない状況である。もう、詐欺のようなものだ。更に、いざ苦労の末社会に出てみれば、上はバブル世代、下はゆとり世代。上からも下からも無茶を言われる始末。
それはそれはかわいそうなのである。
5,6年前だった思うが、インターネット上の記事で、当時なかなか日本が不景気を脱することができないのは、一番元気であるべき30台中盤の超氷河期世代が、自らがあまりにも恵まれない境遇だったために守りに入ってしまっていることが原因だ、というような趣旨の記載を読んだ記憶がある。散々不遇な目に遭ったうえに日本の不景気の責任まで追及されるとは何て酷い話だと憤慨する一方、確かにそうかもしれないとも考えさせられた記事である。
ちなみに、この世代が唯一恵まれている点は、通信技術やIT技術の発達を目の当たりにすることができたということらしい。確かに、私も高校時代はポケベル、大学時代にPHSから携帯電話という形で自らの成長に合わせるかのように通信手段がレベルアップしていたし、中学時代の「パソコン通信」以降、インターネット通信への変遷を目の当たりにしてきた。一昔前の技術の記憶は同世代ではかなり盛り上がる話題であり、今としてはいい思い出なので、恵まれている点であるということを否定するつもりはないが、まあ、正直言って、上記の不遇さとの引換えの恩恵とすれば、あまりにも恩恵が少なく「元が取れていない」感は否めない。
つまり、今年40歳を迎えるおじさんたちはとてもかわいそうなのである。世間の人たち、もっと優しくしてあげましょう。