2016/08/15 <〇〇力>
根気力なし男
一昔前だが、「○○力」という言葉やこれをタイトルとした書籍が流行っていたように思う。「老人力」「鈍感力」「断る力」、有名どころでは「聞く力」などである。
実は、どれもちゃんと読んだことはないので、このそれぞれの言葉が具体的にどのような意味で使われているのかはわからないが、「体力」「集中力」などの人間としてのメジャーな「力」ではない、今まであまりスポットがあてられなかった「力」にスポットをあてて、その必要性や上達法などが議論されているのではないかと推測する(間違っていたらごめんなさい)。
そのような意味で、私自身が最近、実は社会人あるいはプロとしての仕事人にとって非常に重要な力ではないかと思っているものがある。
「帳尻力」
もちろん、こんな言葉はないのだが、皆さんの周りにも、営業目標や成績、記録等について「何だかんだ言っても帳尻を合わせてくる」「人」や「組織(チーム)」はいる(ある)と思う。簡単に言えば、一夜漬けの勉強でどうにかしちゃえるタイプの人のことである。
この力は「火事場のクソ力」と似ている部分もあるが、帳尻が合うに際しては自らの力量や努力によって成し遂げる場合だけでなく、いわゆる偶然の産物として帳尻が合うことが多々あるという意味で異なる(いわゆる「ヒキ」が強い人)し、「火事場」は不可抗力的に生じた場面である一方、「帳尻力」が発揮される場は、もちろん不可抗力的なピンチもあるが、自らがやるべきことを怠り(サボり)、あるいは、計画性がなかったが故に自業自得的に生じた場面であることもあるので、少し意味合いが異なってくる。
ギリギリで帳尻を合わせるのであれば、初めから計画的にやればいいのにというのが本人を含めた大半の人が思うことであるが、案外計画的にやっても力が発揮できない場合が多く、むしろ計画的にできないから成長する能力なのかもしれない。
そして、競馬の先行逃げ切りよりも追い込みが決まったときの方が記憶に残ることや、野球の「スミイチ」(1回の表に1点だけ入ってあとは0点の試合のこと)より9回2アウトからのサヨナラ逆転劇の方が感動を呼ぶように、この帳尻力は同じ結果なのに大げさに言えば感動を伴ったり、ちょっとした格好良さを感じさせることもある。
社会人になって色んな人や会社と付き合いがあると、明らかにこの帳尻力が高い人や組織に遭遇することがある。「結果を出す力」と言ってしまえばそれまでだが、どちらかというと「結果だけは出す力」というちょっと反道徳的というかあるべき日本人的な「コツコツ努力する」という実直な姿とは違うものなので、推奨はできない反面何となくかっこよく感じる、これが帳尻力の高い人の特徴と考えている。
ということをこのまま語り続けたり、具体例を出したりしていけばこの「帳尻力」をうまく定義して、それを伸ばすコツとか活かす技まで書けそうなのだが、面倒になってきたので誰が続きを書いて一冊の本にまとめてくれないだろうか(笑)