2021/06/17 たばこの話
元喫煙者
近年、日本の喫煙率は20%を切っており、喫煙者が希少種扱いをされる状況において、たばこの話をしても興味がない人の方が多いだろうが、たばこの話。
私が認識する限りにおいて、現在、当事務所の喫煙率は0%のはずである。そして、私が認識する限りにおいて、当事務所における最後の喫煙者は私であったはずである。
私が入所したころの当事務所においても喫煙率自体は低かったと記憶しているが、所長がかなりの愛煙家であったこともあり、何となく喫煙者に寛容な雰囲気があり、今考えればおそろしいことではあるが、新人時代から諸先輩方の前においても大手を振って煙を揺らしていたものである。しかしながら、「やめるやめる詐欺」とも言われていた(?)所長の禁煙が本当に実現した後は、社会における喫煙率の減少・喫煙者の肩身の狭さ加減にリンクするように、当事務所においても徐々に喫煙者の肩身が狭くなり、とうとう喫煙者は私一人になってしまった。
2015年、この状況において、私は事務所の朝礼にて、事務所メンバーの前でこう高らかに宣言した。
「弁護士の本懐は少数者の人権の擁護にあり、この原理は弁護士において普遍的に妥当する本質的な理念である。弁護士である以上、マイノリティーの権利を尊重すべきことはもとより、この点を突き詰めていけば、弁護士はマイノリティーそのものであるべきである。そこで私は、当事務所における喫煙者の最後の砦として、マイノリティーであることを貫くべく、絶対に禁煙しないことをここに宣言したい。」
朝からこいつは何を言っているんだろうと事務所メンバーに呆れられたことは言うまでもない。
そして、2015年10月、私は禁煙をすることとなった。舌の根も乾かぬうちにという言葉を絵にかいたような状況だが、それ以降、1本も煙草を吸うことなく現在に至っている。
このようにして禁煙してからかれこれ5年以上が経過したわけであるが、一般的な禁煙の功罪と私自身に起きた現象を振り返ってみると・・・
(1) (一般的によく言われるメリット)味覚や嗅覚が鋭敏になり、ごはんがおいしく感じる。
→(私の個人的な感想)ごはんは元々おいしいのであまり変わらない。ただし、一時期、たばこの臭いそのものにすごく鋭敏になった時期があり、外を歩いていて遠くの方で歩きたばこをしている人がいることに気付けるくらい、たばこの臭い限定で敏感になったことはあった(メリットでもデメリットでもないが・・・)。
(2) (1)の半面、また、口寂しさを紛らわすために食事量が増えるので、太る。
→確かに太ったが、元々中年に差し掛かっている年齢で体重増加傾向まっしぐらだったので、禁煙の影響かどうかは微妙。
(3) 衣類や部屋のたばこ臭がなくなる。
→自分で自分の臭いを正確に認識できていないので、自覚はあまりないが、このメリットはあると思われる。
(4) 血行が良くなる結果、肩こりがなくなり肌の調子がよくなる。朝の目覚めが良くなる。
→元々肩こりはなく、肌は今も昔も艶々なのが自慢。朝の目覚めは常に悪い。髪の毛が伸びるペースが若干早くなった気がする(散髪代が嵩む)。
(5) カラオケで声がよく出るようになる。
→自称美声(?)なので、変化の自覚なし。
(6) たばこ代を貯蓄できる。
→たばことは関係なく競馬の負けが酷いので焼け石に水。
(7) 時間の節約になる。
→確かに、初めて降り立った駅ではまず喫煙所を探すような癖がついていて、そのような時間を含めて時間の節約になっている面はあると思われるが、従来たばこを吸いに行くのは考えに行き詰ったときで、喫煙中は移動時間を含めて考え事をしていたという意味では時間を無駄にしていた認識はなく、自覚としてはそれほど大きな差はない。
という感じであり、一般的に言われているところのメリットについては、ないわけではないがそれほど大きなものを感じていないというのが正直なところである(吸い続けていた場合との比較ができないので、なんとも言えないが)。
実は、これに他に、重大なデメリットが生じており、2016年春に、花粉症を発症してしまい、年々酷くなっている状況である。禁煙との因果関係はもちろん不明ながら、インターネットで検索すると、禁煙後に花粉症を発症した人は少ないものの存在するようであり、私自身はその因果関係を確信しているところである。
実のところ、禁煙により自分自身に生じたメリットが自覚できないばかりか花粉症になってしまったとはいえ、禁煙した後に子供が生まれ、子供を副流煙に晒さずに済んだという最大のメリットがあったので、結論的には、禁煙して本当によかったと思っている今日この頃である。