2013/09/17 〇〇の帝王
次回ご紹介する“帝王”は…(たぶん,続きません)
ある分野を代表する人物,権威と呼ばれる人物に対して“帝王”という言葉が冠せられることがあります。ジャズ界の帝王マイルス・デイヴィス,ゴルフ界の帝王ジャック・ニクラウス,モード界の帝王ジョルジオ・アルマーニ等々…。元プロ野球選手の清原は,無冠の帝王と呼ばれることもありますね(「ミナミの帝王」というのもいますね…ちょっと違うか…)。
さて,クラシック・ファンにとって忘れてはならない“帝王”といえばやはりこの人,楽壇の帝王ヘルベルト・フォン・カラヤン。あまりにも有名な指揮者であり,毀誉褒貶の激しい人物でもあります(個人的には,通といわれるような人に嫌われがちなイメージがあります…)が,クラシック史上最もレコードを売った指揮者であり,その知名度,人気,存在感を超える指揮者は今後現れないのでないか,と思われるほど偉大な音楽家であることについてはおそらく異論の余地がないでしょう。
さて,そんな偉大なる“帝王”カラヤンについて,著名なエピソードを一つご紹介したいと思います。私たちの生活にとって,非常に身近な存在であるコンパクト・ディスク(CD)。CDを開発したのは電機メーカーであるソニーですが,当時社長だった大賀典雄氏は,CDの規格を決めるにあたってなんとカラヤンに相談をします(大賀氏は音大出のバリトン歌手であり,著名な音楽愛好家でもありました。)。このとき,カラヤンは「第九が収まるサイズにすべきだ」とのアドバイスを与え,その結果,CDは現在のサイズになったとのこと。
第九というのは,いうまでもなくベートーヴェンの交響曲第九番《合唱付》のことですが,もし,カラヤンが「《運命》が入るサイズ」と言っていたら,CDは現在の半分くらい?の大きさだったのかもしれませんし,「マーラーの交響曲が収まるサイズを」とアドバイスしていたら倍ぐらいになっていたかもしれませんよね。ということで,秋の夜長,皆さまも“帝王”カラヤンの演奏を楽しんでみてはいかがでしょうか(是非CDで!)。