2017/07/16 「意外と知らない名前の話」
サイドマウンテン
いうまでもなく,当事務所の正式名称は「弁護士法人小野総合法律事務所」ですが(なお,英語表記は「Ono Sogo Legal Professional Corporation」のようです。当事務所の入居する有楽町電気ビル1階の案内看板を見ると,誰がつけたかこのような表記がされています),このような名称になったのは,平成20年7月からで,その前は単に「小野総合法律事務所」という名称でした。「弁護士法人」という文言がないのは,以前は当事務所が法人ではなかったからです。
そして,「小野総合法律事務所」という名称になったのも平成15年5月からであり,その前は「小野孝男法律事務所」という名称でした。
弁護士の事務所の名称には様々なものがありますが,たとえば「織田信長」という弁護士であれば「織田法律事務所」「織田総合法律事務所」「織田信長法律事務所」というように,自身の名前を用いるパターンや「関ヶ原法律事務所」というように,事務所所在地の地名を用いるパターンが多く,このほかにも,織田信長弁護士が「豊臣秀吉」「徳川家康」という弁護士と共同で事務所を開設しようとする場合には「織田・豊臣・徳川法律事務所」というように,各人の名字を併記した名称にすることも,よく見受けられます(この場合,誰の名字をどの順番で標記するかという,水面下の争いがあるとかないとか・・・)。
もっとも,上記のような例に限らず,最近は様々な名称の事務所が増えてきました。アルファベットやカタカナ語を用いたり「きぼう」「みらい」などのような単語や造語を用いたりすることも珍しくありません。
では,事務所の名称は,完全に自由かというとそうではありません。弁護士法人であれば「弁護士法人」という,そうでない事務所であれば「法律事務所」という名称を用いなければならない旨が弁護士法に定められておりますし(同法第20条第1項,第30条の3),これを受けて「法律事務所等の名称等に関する規程」という日弁連の規定(以下「規定」)や「法律事務所等の名称等に関する規程及び外国法事務弁護士事務所の名称に関する規程の解釈及び運用の指針」という指針(以下「指針」)が存在します。
その中でも特に興味を引くのが,規定第8条及び指針第2第6項です。規程第8条は「弁護士はその法律事務所に名称を付するときは品位を損なう名称を付してはならない」と定めており,指針第2第6項で「品位を損なう名称」が類型化されています。
いくつかご紹介しますと,まず,1)奇異,低俗又は過度の期待を抱かせるものは禁止です。例えば「勝訴確実法律事務所」「元特捜検事法律事務所」「格安法律事務所」などです。最後の名称は,どこかの酒屋かと突っ込みを入れたくなりますが,事務所名としては認められないようです。このほか,同じ類型として「地獄」「悪魔」「死神」や,差別用語,性的な用語も禁止です。「悪魔」がダメなら「小悪魔」はいいのかと聞いてみたくなりますが(小悪魔法律事務所・・・ちょっとかわいい印象になる気もします),おそらくダメなのでしょう。
次に,2)違法行為,脱法行為等を示唆する名称も禁止です。例えば「法の抜け道法律事務所」「裏技法律事務所」などです。「法の抜け道法律事務所」などは,どういう属性の人が相談に来るのか,とても気になるところです。
このほか,3)法令で使用を制限された文字を用いることや(●●銀行法律事務所,●●株式会社法律事務所など),公的機関等との関係を誤認させるもの(東京都法律事務所,日本弁護士会法律事務所など)も禁止されています。
弁護士業務を行っていると,様々な事務所の名称を目にしますが,たまにユニークな名称の事務所を見かけます。子供に奇抜な名前を付ける「キラキラネーム」が話題になることがありますが,今後は,法律事務所の名称でも「キラキラネーム」が増えてくるかもしれません。