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2021/09/17 「非常時ですか?だからってなんぼ何でもそりゃないんじゃないですか。」

(# ゚Д゚)

  新型コロナウィルス感染症が日本国内で確認されてから1年半以上経つ。2021年9月13日の時点で、これまでに日本国内で1,635,492人が新型コロナウィルス感染症と診断され(空港・海港検疫、チャーター便帰国者を除く。)、うち16,790人が死亡したということである(厚生労働省HPによる。致死率は1.01%強ということになる)。


  この間、東京都は、4度、国による緊急事態宣言の対象となり、東京都からは、都民に対する不要不急の外出・異動の自粛要請、酒類を提供する飲食店等に対する休業要請、酒類を提供しない飲食店への営業時間短縮要請等の各種要請がなされている。


  当初、ゲームチェンジャーとしてワクチンの開発・接種が期待され、これまでに、アメリカでは、ファイザー社とモデルナ社のmRNAワクチン、ジョンソン・エンド・ジョンソン社のウィルスベクターワクチンがFDA(食品医薬品局)により緊急使用許可がされ、うちファイザー社のmRNAワクチンが正式承認されている。日本国内では、ファイザー社とモデルナ社のmRNAワクチン、アストラゼネカ社のウィルスベクターワクチンが薬事承認されている。


  2021年9月13日の時点で、日本国内でワクチンの2回接種が完了したのが人口の半数に達したとのことであり、政府は、「各地方公共団体の接種会場に加え自衛隊大規模接種センターも活用した接種を実施しつつ、職域(大学等を含む)による接種を実施するとともに、地域接種・職域接種のいずれにもつながりにくい者のワクチン接種を推進すること。加えて、接種を実施する医療機関、医療関係者の確保に向けて、必要な取組を総動員し、ワクチン接種の円滑化・加速化を進めること。」とし(新型コロナウィルス感染症対策の基本的対処方針)、引き続き接種を推進している。会社等でも、場合によってはワクチン接種が強く推奨され、経団連などはワクチン接種証明書を出入国時のみならず国内経済活動の場面においても活用されるべきであるなどの提言をするなど、世間においてワクチン接種への圧力を生む状況が生じている。アメリカやイギリス等でも同様の状況が生じているが、国民(未接種者)からの反発が強く、2021年9月12日のBBCの報道によると、イギリスでは、イベント等でのワクチン接種証明書提示義務の導入を見送ることになったということである。一方、日本では、同調圧力の強さや国民の権利意識の弱さに起因してか、今のところ目立った反発はないようである。


  厚生労働省によると、ワクチン接種後の死亡として報告された事例は、2021年9月3日の時点で1155件であるが、ワクチン接種との因果関係を認めたものはない。そのため、死亡した事例で「予防接種健康被害救済制度」で死亡に伴う給付がされたものはないということになる。


  政府は、「予防接種は最終的には個人の判断で接種されるものである」との建前をとっておきながら、その実、ワクチン接種への圧力を生む状況を生じさせているか、あるいは少なくとも容認しているように見える。にもかかわらず、死んだときには、建前どおり自己責任だというのは無責任に過ぎやしないか。


  厚生労働省によれば、そもそも、2020年6月から8月の診断月において新型コロナウィルス感染症と診断された人のうち重症化する割合は、20代では0.03%、30代では0.09%、40代では0.54%であり、死亡する割合は、20代と30代では0.01%、40代では0.1%である(デルタ株ではそれよりも高くなっている可能性はあるが。そもそも8割方が無症状か軽症で済んでいるということである。)。その上、感染者のうち他人に感染させるのは2割以下ということであり、仮に、東京都で10万人の感染者がいたとしても、人口に占める割合は0.7%で、さらに他人に感染させる感染者の割合は0.14%ということになる。そのような人と遭遇し、しかも、新型コロナウィルスに感染するような状況に置かれる可能性はどれだけか。仮に運悪くそのような状況に置かれたとしても、重症化しあるいは死亡する可能性はどれほどか。


  片や、現在薬事承認されているワクチンの安全性はどうか。ワクチンは、通常、5年ないし10年程度の期間をかけて有効性や安全性が確認され承認されるものであるところ、現在薬事承認されているワクチンは、わずか数か月で承認に至っている。しかも、mRNAワクチンやウィルスベクターワクチンが臨床応用されるのは今回が初めてであり、中長期の安全性については実績がなくデータがない。ワクチンの副反応としては、1)アナフィラキシー2)脳炎、神経麻痺、3)抗体依存性感染増強(ADE)があるということだが、免疫学の第一人者であるという宮坂昌之氏によると、3)については「…ADEというのは悪玉抗体を持っているところにウィルス感染が起きたときに見られる現象です。ところが、実際は、mRNAワクチンは強力な感染予防効果を持つので、2回接種者ではほぼ感染が起きません。したがって万が一悪玉抗体を持っていても、ADEの起こりようがないのです。ただし、今後、ウィルスの変異が進んで、ワクチンの効果が薄れてくれば、感染者が増えてくる可能性があります。その場合にはこれまで見えていなかったADEが見えるようになってくる可能性はあるかもしれません。今後も注意しておく必要はあるでしょう。」ということである(同氏「新型コロナワクチン本当の『真実』」(講談社現代新書)152頁、153頁)。しかしながら、ワクチン接種で先行するイスラエルやシンガポールでは、いわゆるブレークスルー感染による感染者が急増し、ワクチンの感染予防効果は高くないと言われており(40%程度という話もある。)、感染予防効果が高いことを前提として3)の可能性は少ないという立論はもはや成り立たなくなっている(なお、宮坂氏は後に「ワクチンは鎧かと思ったけれど、レインコート程度だった。」旨発言しているようである)。また、宮坂氏によると「少し心配なのは、現在のワクチンでは、実は、この感染促進抗体が結合する部位も抗原として使われていることです。ということは、人によっては悪玉抗体を作る人が出てこないとも限りません。」ということである(上記書158頁。ちなみにことわっておくが、同氏はワクチン接種肯定派である)。


  ワクチンの有効性についても、重症化を予防する効果は6倍から11倍ということだが、そもそも上記のとおり若い世代の重症化率は高くなく、それがワクチン接種によりさらに6分の1、11分の1になったところで、どれほど意味があるのかと思うのは私だけか。


  ノババックス社や塩野義製薬社は、これまでに臨床応用の実績のある遺伝子組換えタンパクワクチンの第3相試験を行っており、今後数か月で薬事承認される可能性がある。また、メルク社や塩野義製薬社は、軽症時の経口服用治療薬の第3相試験を行っており、これも今後数か月で薬事承認される可能性がある。それにもかかわらず、重症化したり死亡したりする可能性が高くない若い世代にまで現在薬事承認されているワクチンの接種を(強く)進めるというのは果たして合理的か。


  また、上記のとおり、ワクチンの感染予防効果が高くないにもかかわらず(さらに、CDCによると、デルタ株について、ワクチン接種者の感染時のウィルス量は、未接種者と変わらないということである)、ワクチン接種証明書を利用してワクチン接種者により多くの行動の自由を認めるというのは、感染を予防するという観点からは全く不合理である。


  国や一部の社会のために多少の犠牲(しかも取り返しのつかない生命という犠牲)は厭わないという空気や、政府が右を向けといえば黙って右を向く報道姿勢や国民の同調姿勢というのは、いつか来た道と同じではないか。それぞれが自らの果たすべき責任を果たし、事実を直視し、適切な目的を定め、目的の実現に向けて統一的かつ合目的的に行動しなければ、ご先祖様に申し訳が立たない。