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2024/09/14 さあ…もうええでしょう!! 

凡事徹底

このタイトル、知ってる人は知っている、例の地面師事件を元ネタにした配信ドラマでの名言(?)である。 

 本ドラマは、配信開始直後からSNSでの評判も上々であり、私自身、不動産取引に関する法律相談を受けることが多いため、興味が出て少し前に見てみた。 

 結論からいって、インターネット上の評判通りとても面白かった! 

 キャストも豪華で申し分なし。不祥事があったあの俳優にこんなセリフ言わせるのかよ、という突っ込みを内心でしつつ、全7話をすぐ見てしまった。 

 このドラマを見てもわかるとおり、地面師詐欺を成し遂げるために越えなければならないハードルはたくさんあるが、その中でも特に大変なのが「偽物の所有者を用意し、その者が真の所有者であると買主に信じ込ませること」だろう。逆に、買主が地面師に騙されないようにするためには、念入りに本人確認を行うことが重要であるが、このドラマではそのシーンが詳細に描かれており、個人的にはとても興味深かった。 

 運転免許証を裏から灯りで照らしてICチップを確認してみたり、生年月日や干支のほか、近くにあるスーパーまで聞いてみたりと、「ここまでやるのか」というのが率直な感想である。自分が自宅マンションの売却をしたときなどは、そこまで厳格な本人確認はされなかったが、ウン十億円単位の取引となると慎重になる度合いも異なるということなのだろうか。ウン十億円単位の取引に関する法律相談を受けることは多々あるが、契約や決済の場に立ち会ったことまではないので、一度くらい立ち会ってみたいなと思った次第である(特に、売主が大企業ではなく、個人又は資産管理会社の取引などが望ましい)。 

 ご存じのとおり、本件は実話をもとにしたストーリーであり、現実に大手不動産会社が50億円以上の金銭を騙し取られている。この件については、株主代表訴訟が提起されていたり、第三者委員会の報告書も公開されたりしたことから、事件の概要は容易に知ることができるが、こちらも大変興味深く読ませていただいた。また、「不動産は現場百回」ということで、本ドラマを見た後にサイクリングがてら実際に現場にも行ってみたが、今では立派なタワーマンションが建っており、当時の騒動など見る影もなかった。 

 魑魅魍魎が跋扈する不動産の世界、狂気の沙汰ほど面白いということなのかもしれない…。