2019/07/21 サイクリスト
サイクリスト弁護士
東京オリンピックが近づいてきました。僕はプロ自転車競技選手の代理人をしており、自分自身も競技用自転車に乗ることもあり、注目はやはり自転車競技のロード種目ということになります。
東京オリンピックのロード種目のコースは、男女で距離やルートが異なるものの、いずれも府中市の武蔵野の森公園をスタートし、多摩丘陵や、道志みち(413号線)を通過し、山中湖を経て、静岡県小山町の富士スピードウェイにゴールするワンウェイコースです。
そして、自転車ロード競技の観戦の魅力は、やはり厳しい山岳コースを登る選手を沿道から間近で応援することです。この文章を書いている現在開催中のツール・ド・フランスの山岳ステージなどで、群衆をかき分けるように走る選手の映像をご覧になったことがある方も多いと思います。
東京オリンピックでも、道志みちの山伏峠や、富士山麓の三国峠等の厳しい山岳があり、さぞや沿道は盛り上がるであろうと思いきや、現状では平坦エリアの一部を除いて、大部分が観戦禁止エリアに指定される方向のようです。なんじゃそれ。
せっかく全世界が注目する大イベントなのに、とても残念です。理由はいかにも日本的で、コースの安全性の確保ということです。でも、本場のヨーロッパのレースを見れば、そのような理由だけで観戦をほぼ全面排除することがいかに馬鹿げたことであるかが容易に理解できると思います。
それに、長大なコース全体にわたって、観戦禁止をきちんと管理できるのでしょうか。ほとんど無理ではないかと思うのですよね。もちろん、自転車ロード競技の観戦文化が根付いているとはいえない日本のことですから、マナー違反行為が生ずる危険性は否定できませんが、そのあたりは時間をかけてしっかり啓発活動をして備えるべきじゃないかと思います。
世界のトップ選手が一堂に会するレースが、盛り上がりに欠けるさびしいものにならないことを祈るばかりです。