2019/05/15 スリランカ
BOBCAT
世界的視野で見た場合、最近起こった最も重大な事件といえば、4月21日のスリランカでの連続爆弾テロであろう。
爆弾の被害にあったコロンボの三つのホテルのうちの一つであるシナモン・グランドには泊まったことがあるが、とてもよかった印象しかない。確か、クラブラウンジでは、ヴーヴ・クリコが一日中飲み放題であったと記憶している(他所のホテルではクラブラウンジに置いてあるのがシャンパーニュではなく、ただのスパークリングワインであるところが多い)。
欧米系のホテルチェーンではなく地元資本の高級ホテルで、地元の上流階級や富裕層が結婚披露宴や宴会等で好んで利用する、日本でいうと帝国ホテルのような存在であると思われた。それだけに、数あるホテルの中でここが狙われるとは意外であるとともに、残念でならない。
周知のとおり、スリランカでは、かつては少数民族のタミル人の武装勢力『タミル・イーラム解放のトラ』と政府軍との内戦が続いていたが、2009年に内戦が終結してからはテロの類もほとんど発生しておらず、ずっと治安はよかった。
食事はうまいし、いたるところで野生動物(野生でない動物も)の姿を見ることができる。自然公園のサファリでは、子供の象が母象にピッタリ寄り添って歩く姿を10メートルほどの距離で観察することなどいとも簡単である。前回泊まったリゾートホテルでは、部屋から見えるホテルの庭の木に野生のクジャクがやってきて止まっていた。
人々はおだやかで親切であり、おしなべて聡明である。
快適で美しいホテルが多く、そのうえ料金が安い。東南アジアやモルディブ、フィジー等と比べて同レベルのホテルが半額くらいの感じである(だいたい、他国のホテルの方が高くなりすぎたのだが)。
つまり、スリランカはとてもよいところである。
だから、前回旅行した時も、残ったルピーを無理に使い切らずに、持って帰ってきた。
報道によれば、今回のテロの実行犯の中には、富裕層出身の欧米式教育による高学歴者が複数いるとのことである。一般的には、テロの実行犯は、貧困層出身の低学歴で職もなく生活に困った者が社会に対する反感を強めているところへ、過激派組織に扇動・勧誘されてことに及ぶというイメージがあるが、今回の実行犯には当てはまらない。もちろん、そのことは、今回の事件が初めてであるわけではなく、同様の例は我が国でもあったことではある。ましてや、実行犯がイスラム教徒だからというようなたぐいのものではない。
つまり、日本に住む者にとって今回の事件はまったく他人事ではないということである。それなのに、4月から5月にかけてのこの国の有り様はいったいどうしたことかと思う。
さて、目下の悩みは今年9月に予定しているスリランカの旅行をどうするかである。飛行機は、せこせこと貯めたマイルでもらった特典航空券で、苦労して1年前にキャセイパシフィックの予約を入れてある。ホテルも、先日(当然ながらテロの前に)料金の一部を前払いしたばかりである。
このような時だからこそ行って、現地の真の姿を自分の目で見てくるべきであるというのが正論(せいろん)であろうが。