地上波で流れるテレビ番組の，リアルタイムを気にすることがなくなって久しい。

　数年前までは，自分自身で番組表を確認して録画しており，そういう意味ではリアルタイムと一応連動して行動していたことにはなる。しかし、ストリーミング配信（動画配信）に登録してしまってからは，もはや自分で番組表を確認して録画する，という作業もしなくなった。勝手に動画配信サイトに溜まっていくため、つい世間的にホットな時期に見過ごしてしまう。

　この動画配信サイト，過去何十年も遡って評価の高い作品を見ることができるため，ついつい、気になってはいたけど見なかったあの番組、いつの間にか上演が終わっていたあの映画、次々と見てしまう。

　最近視聴しているものとしては，かなり平たく表すと，毎回違うサウナに入るというドラマ（「サ道」）や毎回違う店で料理を食らうというドラマ（「孤独のグルメ」）あたりである。マイブームを熟考すると，実在する店舗で撮影がなされていることや、登場人物の役者も一般人設定ということで、旅番組や料理レポとも違い、より現実と近いルーティーンを楽しめる、ということなのかもしれない。

　しかし、これらを見たことのある人はわかるかもしれないが、サ道のいわゆるSeason1が放送されていたのは３年前であり、Season2が放送されていたのも１年も前のことなのである。そして、孤独のグルメも現在Season10が絶賛放送中であるところ、私の中では４年前のSeason7が絶賛放送中なのだ。

　これ、確かにコンテンツそのものはとても楽しむことができるが、その後の日常生活で、ふと、昨日見たあれが面白かった～と周囲に話しかけるのはよろしくないということが分かった。リアルタイムでやっていたのは数年以上前のことなので、仮に当時そのコンテンツを楽しんでいた人であっても、数年後突然その番組について話を振られると、まず記憶喚起の作業を生じさせてしまう。そして、マニアでない限り数年前のコンテンツの詳細については忘れてしまっているので、つい先日見たばかりでその細部まで鮮明に覚えている私と、どうしても温度差が生じてしまうのだ。 　…やっぱり、テレビ、映画、最も熱い時が良い。