2021/03/15 バーナード・ショー
BOBCAT
さて、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長の「女性がたくさん入っていると」発言である。
この発言は、正確には、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります」というもののようである。今さら言うまでもなく、森前会長は口に出して言ってはいないが、この発言の趣旨は、「男性だけの理事会や女性が少ない理事会と比べると、女性がたくさん入っている理事会は時間がかかるから大変だ(だから、女性の理事はいないか、少ない方がありがたい)」ということである。だからこそ、この発言に対しては、一部の岩盤保守層を除き、国内外から非難が殺到したのであるし、オリンピック精神云々を持ち出すまでもなくアウトである。森前会長は女性を蔑視する意図は毛頭ないと弁明するし、それは嘘ではないであろうが、そういうものをアンコンシャス・バイアスという。
しかし、こんなことを言うと世間の良識派からは袋叩きに遭いそうだし、SNSならば炎上間違いなしであろうが、幸か不幸か、当「雑記帳」ページまでわざわざ閲覧してくれる熱心な読者はごく少数であろうし、当事務所所属の弁護士や職員でも読んでいる者がどれだけいるのか心もとないくらいであるから、炎上する心配もなく、安心して言ってしまおう。
森前会長の趣旨や前後の文脈を離れて、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります」との文字だけを切り出して、論理の問題として解釈すれば、この発言(命題)は誤ってはおらず、正しいのである、と。
ある時、記者がバーナード・ショーに質問した。
「世間では、金曜日に結婚すると不幸になると言われていますが、本当でしょうか?」
ショー翁、答えて曰く。
「もちろん、本当です。いったい、金曜日だけが例外ということがあるでしょうか」
内容に乏しいのに無駄に長い理事会(会議)を開くのはやめましょう。
ついでに、内容に乏しいのに無駄に長い文章(準備書面)を書くことも。
証拠上認定できるからといって、結論を導くために必要のない些末な事実まですべて認定して書き連ねる無意味に長い判決も。