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2023/01/25 不合理なこと

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世の中で当たり前とされていることだけれど不合理なことが多いのは、いつの時代でも変わらない。前々から不合理であると思っていることのひとつに、JRの新幹線の改札口の自動改札機がある。

誰でも知っているように、新幹線の改札口では、乗車券と新幹線特急券を重ねて改札機の手前側にある投入口に投入しなければならない(乗車券と特急券が一枚の切符になっている場合は別であるが)。すると、瞬時に、2メートルくらい先の改札機の反対側にある切符の出口から乗車券と特急券が重なって出てくるのだが、これが、必ず乗車券が上で特急券が下になって出てくる。

しかし、これは不便であり、不合理である。反対に、特急券の方が上で、乗車券の方が下になって出てくる方が合理的である。なぜならば、自由席に乗車する場合は別だが、指定席に乗車する場合は、通常、人間の行動としては、新幹線の改札口を通過したら、すぐ次に、自分の乗る号車と座席番号を確認するために特急券の記載を見ようとするものだからである。

ところが、改札機からは必ず乗車券が上で特急券が下になって出てくるものだから、重なった2枚の切符を右手または左手でピックアップした後で、いちいち上の乗車券と下の特急券を入れ替えなければならない。乗客は、普通少なくとも片手はかばんや袋でふさがっているし、両手がふさがっている場合だって珍しくはないのに、いちいち切符の上と下を入れ替える作業は、煩わしいことしきりである。

これは、切符をどのように投入口に投入しても、必ずそうなるのである。つまり、特急券を上に、乗車券を下にして投入しても、出口では、乗車券が上で特急券が下になって出てくるし、切符の向きを前後左右で変えて投入しても、ちゃんと向きが直されて出てくる。ちなみに、切符を裏返して投入しても、出口では表を向いて出てくる。どうやら、改札機さまは、正しいフィニッシュ姿勢以外のフィニッシュ姿勢は何が何でも許さないぞ、とかたくなに考えているらしいのである。疑問に思う向きは、ぜひ自分で試してみてほしい。

つまり、乗客が投入口にどんな方向・向きで切符を投入しようとも、改札機の中で、切符の磁気情報を正確に読み取って正規の有効な切符であると判定したうえで、自動的に切符を一定の向きにそろえて、乗車券を上、特急券を下に重ね直して排出するという工程が、瞬時に実践されているのである。それはそれで技術的には見事なものであるし、さすが日本の技術はすばらしいと関心はするのだが、そうであればなおのこと、どうして特急券の方を上に、乗車券の方を下にして排出する設定にしなかったのかと疑問である。技術上の理由があるとはとても思えないし、どう考えても、乗客の利便性を犠牲にしてまで、何が何でも乗車券を上に特急券を下にして排出しなければならない実際的な必要性も利益もないと思われる。どのような設計思想があったのかと聞いてみたいところである。