2013/08/19 弁護士の仕事って
端くれ弁護士
弁護士の仕事というのは,実際に依頼してみないと(依頼したとしても),何をしているのかわかりにくいものだと思います。当の私も,実際に司法研修所での修習で,法律事務所にて研修したときが弁護士の仕事に触れた初めての経験でしたので。また,同じ弁護士だとしても,他の業務形態の弁護士の仕事は実際のところはよくわからないというのが現実だったりします。
と,こんなことを思ったのは,最近雑誌を読んでいたところ,機械化で仕事が減るという特集がなされていたことからでした。その雑誌には,某牛丼チェーン店でご飯の盛りつけが機械化されたことなどを例に挙げつつ,機械化によりなくなる業種,なくならない業種の解説などがされておりました。私としては,当然,弁護士の仕事なんて一番機械化できない業種だよな・・・などと高を括っていたのですが,その旨の指摘がないのです。むしろ,弁護士業については,資料の電子化が進むことで,証拠書類分析などが機械化できるようになる,結果,弁護士の数も減るとの指摘が・・・
この指摘からすれば,この雑誌の筆者を含め,およそ一般の人の認識は,弁護士の仕事イコール資料の分析程度(しかも機械化できる分析ですから,おそらく検索しやすくするという程度なのでしょうが・・・)なのでしょう。うーん,結構悲しい指摘です。
確かに資料の整理などは弁護士としての基本であることに間違いはありませんが,私としては,依頼者が置かれている現実を前提に,どのような結論が予想されるのか,依頼者の希望との乖離はどうか,最終的にどのように解決すれば良いかを知識と経験により導き出すというのが重要なことだと考えており,実際にこれが弁護士の仕事の核になる部分であろうと思います(もちろん,法的な問題は紛争だけにとどまりませんので,これだけではありませんが。)。これを機械化することは,どんなにコンピューター技術が進歩したとしても,やはり困難なのではないかと思います。
それなりの雑誌ですら弁護士の仕事に対する認識がこのようなものですので,弁護士とは縁のない方々の弁護士の仕事に対する認識はもっと希薄なのでしょう。一般に弁護士費用が高額であると言われるのは,この点も影響してくるのでしょう。私も,弁護士の端くれとして,弁護士の仕事がそれなりに高度な技術が必要な仕事であることを依頼者にわかっていただくように努力する必要があることを痛感した次第でした。