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2020/07/16 A Day in the Pandemic

パパの端くれ

コロナ禍の中、三歳になる我が家の息子はマスクを付けて幼稚園に通っています。


先日は、普段幼稚園への送り迎えをしている妻に所用ができたため、私が、朝、息子を幼稚園へ連れていき、昼過ぎに迎えにいきました。コロナの流行がなければ近くに住む妻の実家に頼めたのですが、感染が落ち着くまで実家との行き来も控えようということになっており、そのほかに頼める相手もいなかったからです。


九州に豪雨被害をもたらした、いつまでも居座り続ける梅雨前線のため、その日の朝も小雨が降っていました。私は玄関のドアを開けて外の様子を見ながら、電チャリ(電動アシスト自転車)に乗って行くかどうかしばらく迷った後、「歩いて行こう」と息子に伝え、「いいよ!」と許可(?)を得ました。


息子にマスクをつけさせ、ぶかぶかのレインコートを着せて、長靴をはくのを手伝い、私も忘れずにマスクをします。幼稚園に持っていく息子のものには全て名前を書かなければならないため、息子の使い捨てのマスクにも、既に妻が名前を書いてくれていました。


黄色いてるてる坊主に長靴が生えたような格好の息子の手を引き、私自身は傘をさして、住宅街の道のりを幼稚園まで12、3分ほど歩きました。私達の横を、電チャリの後ろに子供を乗せた何人ものママ達が、「このくらいの雨で、いちいち歩いていられるか」と言わんばかりに通り過ぎ、同じ幼稚園に向かっていきます。


幼稚園の正門前に着くと、副園長の中年男性が待っていて、「おはよう、がんばって歩いたね」と言いながら、息子のおでこに非接触の体温計を当てて検温してくれます。それが終わると、息子は私と別れて門の中へ入り、入ってすぐのところにあるテントの中で消毒ジェルのボトルを2、3度押した後、ぬかるんだ園庭をフラフラと歩いていきました。


てるてる坊主が幼稚園の建物の方に漂っていくのを見守った後、私は自宅に帰り、しばらく仕事をします。犬以外の家族のいない静かな家で仕事をすると、さすがに多少は集中でき、「在宅勤務」らしくなったかなと自己満足にひたったのもつかの間、午後2時のお迎えの時間が近づいてきました。


雨も弱くなっていたため、今度は私もさっそうと電チャリにまたがり、幼稚園の駐輪場へ滑り込みました。登園時とは違い、「お迎え」の際は、保護者が各教室の前まで行くことになっています。私は、息子を幼稚園に送っていくのは何度か経験済みだったのですが、迎えにいくのは初めてだったため、妻に借りた「保護者証」の入ったカードケースを首から下げ、幼稚園の正門から中に入り、妻に教わった「あか3くみ」の教室を探して、キョロキョロしながら歩きました。


1階にある教室の入り口に着き、中をのぞきこむと、どうやら他の保護者はまだあまり来ていないようで、20人弱の園児達が通園時の制服である体操着の上下を着て、紅白帽をかぶり、教室の床に座って先生の話を聞いているところでした。


そこで私が思わずギョッとしたのは、園児達が全員マスクをしていたことでした。下半分は白いマスク、頭は赤い帽子、眼だけがのぞいている小さな顔が20ばかり並んでいる様子は、私の幼稚園のイメージとはかけ離れた、何ともいい難い奇妙な光景でした。


「これがウィズコロナの幼稚園か。どれがうちの子かまったく分からないじゃないか…」と思いながら立ち尽くしていると、先生が白いマスクの群れの中から息子を引っ張り出し、私のところまで連れてきてくれました。


息子を乗せて電チャリで家に帰る途中も、白いマスクがシロツメクサのように教室いっぱいに広がったあの様子が頭に浮かんできました。「アフターコロナ」「新常態」がどんなものになるかは分からないけど、園児達の小さな口や鼻がマスクから1日でも早く解放されればいいのに、と思ったのでした。